時は遡って17世紀、イギリスではヴィクトリア女王の夫であるアルバート王子の死後、喪に服すために喪服と黒い装飾品(ジュエリー)しか着用が許されない時期が3年間続きました。当時のイギリスととても懇意な関係にあったハワイでは、後のリリウオカラニ女王となる「リリウ・カマカエハ大酋長」もアルバート王子のために喪に服されたそうです。喪に服すにあたってリリウ・カマカエハ大酋長は、工夫を凝らして金にエナメルで「永遠の思い出」と溶かし込んだジュエリーをオートクチュールで作らせました。この時つくられた喪服用のジュエリーがハワイアンジュエリーの起源とされています。 後に女王となったリリウオカラニは恩師であるゾイ・アトキンソンに感謝の意を込めて「Aloha O'e(アロハ・オエ:※下記参照 )」と彫り込んだブレスレットを彼に贈りました。 そういった経緯があって、その後ハワイではこの文字を掘り込むジュエリーが一大ブームとなり、アロハ魂を思い出として永遠に残すことができるハワイアンジュエリーとして代々受け継がれるようになったとされています。
ハワイアンジュエリーは職人によって一つ一つ手作りされる装飾品で、その分希少価値が高くなっています。14金という若干硬い金で製造されるため外部からの傷に強くなっており、多少乱暴に扱ったとしてもも、ジュエリー本来の美しさを保つことができ、このメリットはずっと残しておきたい宝物として魅力の一つとなっています。現在では恋人同士や夫婦の結婚記念、卒業記念や誕生日のお祝いにプレゼントされることが多く、ジュエリーにハワイ語で自分の好きな言葉や、親しい人や愛する人の名前を彫り入れてオリジナルジュエリーとするのが主流となっています。ハワイアンジュエリーで象られているモチーフには「ハイビスカス」、「ホヌ(亀)」、ハワイでは神聖とされている「マイレの葉」などがあります。また自然の象徴だけでなく、熱帯果物のパイナップル、ビーチサンダルやウクレレ、サーフボードなどハワイを象徴するキーアイテムを象ったモチーフも多数用意されています。ジュエリーの種類もリングだけでなく、バングルやペンダント、ネックレスやピアスなどに広がっており、ハワイの人々にとって身近な装飾品としてどんどん進化し続けています。そのためハワイアンジュエリーはハワイアン・ファッションとしての揺ぎ無い地位獲得し、無くてはならないアイテムとなっています。ハワイと言えばフラダンスですが、フラダンスを踊るときだけはハワイアンジュエリーなどの装飾品は一切身に着けない決まりとなっているそうです。
ハワイアンジュエリーの正式な名称は「ハワイアン・エアルーム・ジュエリー」と言い、これは日本語にすると「先祖伝来の家宝」という意味になります。本来ハワイアンジュエリーは親から子、子から孫といったように家族の中で代々受け継がれていく結い遺書正しい特別な家法としての扱いと、誕生日や卒業式などの祝い事で渡す記念品、もしくは大切に思っている人へのプレゼントとして、素敵な思い出をずっと残しておくための特別な品として非常に重要な意味を持っていたとされています。ハワイの神聖なモチーフが刻まれたハワイアンジュエリーには「心を寄せる、思いを伝える」力があると信じ伝えられ、男性から女性はもちろん、女性から男性への特別なプレゼントとして親しまれています。このようにハワイアンジュエリーは本来は神聖で神秘的な品物として扱われていましたが、時代が移り変わるにつれて、お土産や通常の装飾品などで喜ばれる品となり、加速度的に普及してきました。そして現在、ハワイアンジュエリーはハワイの特産品として、ハワイ在住の方だけで外来の方にも親しまれるようになりました。
ハワイ語がさっぱり分からない人でも「アロハ・オエ」を聞いたことがあるのではないでしょうか。「アロハ・オエ」は「あなたが愛されますように」「あなたに愛を贈ります」という意味になります。
Last update:2023/4/19